アメリカの投資家から資金調達をするために必要な知識:Regulation D(レギュレーションD)

Regulation D (レギュレーションD)

Regulation D(レギュレーションD)

前回のブログ投稿で記載した通り、アメリカでは全ての有価証券の募集と販売は、登録義務が免除されていない限り、証券取引委員会に登録する必要がある。しかしアメリカでは、登録費用が高く時間もかかるため、初期段階での資金調達を考えている会社は一般的に、登録義務が免除されるような募集方法を考える必要がある。

では、Regulation Dとは何だろう?

Regulation Dとは、最もよく使用される登録義務の免除規定であり、アメリカでは多くのベンチャーキャピタルの資金調達に使われている。実際には、Regulation Dには証券取引委員会への登録義務の免除規定が4タイプ含まれている:Rule 504Rule 505Rule 506(b)及びRule 506(c)。これらの免除規定は、会社が自身の証券を販売する際に適用できるが、ブローカーやその他の媒介者には適用できない。

Regulation Dの免除規定

Regulation Dの異なる4タイプの規定は、それぞれに異なる要件がある。もし会社が要件に違反した証券の募集もしくは販売をした場合には、その募集は、規定に基づく登録免除の適用を受けることができない。

下記は、Regulation Dに定められた4タイプの規定の概要である。これらの概要は、Regulation Dの枠組みを大まかに理解するための簡単なまとめであり、実際の規定はより詳細かつ追加の要件もあるのでご留意頂きたい。

Rule 504(ルール504)

Rule 504のもとでは、会社は年間100万ドルまでの証券を募集・販売できる。証券取引委員会はこの金額を年間500万ドルへ引き上げるよう提案したが、新たな規定はまだ有効になっていない。

Rule 504に基づき募集された証券は、いかなるタイプの投資家でも購入することができる。すなわち、投資するために必要な資格はない。Rule 504は、Regulation Dの中でも、特別な要件を満たすことなく何人でも投資可能な登録免除を定めた唯一の規定である。

概して、Rule 504に基づく募集は”一般勧誘”(general solicitation)を含んでいない。(”一般勧誘”は禁止されている。)

General Solicitation (一般勧誘)とは?

“一般勧誘”という言葉は、例えばインターネット上で募集を公表することなど、幅広い意味での宣伝・公表を意味する。スタートアップ企業の”Demo Day”(デモ・デー)でさえ、場合によっては一般勧誘に当たる危険性がある。

証券取引委員会はこれについて詳細なガイダンスを出しており、ある特定のコミュニケーションが”一般勧誘”かどうかについては非常に複雑な分析が必要となるケースもある。従って、Regulation Dに基づく資金調達を考えている企業は、募集について潜在的な投資家とコミュニケーションをとる前に弁護士のアドバイスを求めるべきである。

Rule 505(ルール505)

Rule 505のもとでは、会社は年間500万ドルまでの証券を募集・販売できる。Rule 505に基づく募集では、”適格投資家”であれば数の制限なく参加できる。また、Rule 504と同じく、Rule 505でも一般勧誘は禁止されている。

正確に言えば、適格投資家ではなくとも35名までであれば証券を購入することができるが、非適格投資家が含まれる場合、会社は登録が必要な募集に要求されるものと類似する情報を非適格投資家へ提供しなければならない。この情報を作成するには相当な費用がかかるため、結果的にRule 505に基づき証券を販売する会社は大抵、募集を適格投資家に限定している。

Accredited Investors (適格投資家)

では、適格投資家とは何だろう?”適格投資家”という言葉は、ほぼ全ての機関投資家、資産500万ドル以上を有する企業、その他のあるタイプの投資家を含んでいる。個人が適格投資家になるためには、その個人が純資産を100万ドル以上保有、もしくは過去2年間の年収が20万ドル以上なければならない。その他にも、適格投資家と判断するには詳細な規定がある。

Rule 506(b)(ルール506(b))

Rule 506(b)のもとでは、募集する額に制限はない。よって、会社はこの規定を利用して、10億でも100億ドルでも資金調達をすることができる。また、Rule 505と同様に、適格投資家であれば数の制限なく募集を行うことができる。

要件を満たせば、非適格投資家でも35名までは証券を購入することができる。但し、Rule 505と同様に、証券の発行者は非適格投資家に対して詳細な情報を提供する必要があり、情報作成に費用がかかる。

Rule 504, 505と同じく、Rule 506(b)でも一般勧誘は禁止されている。

Rule 506(c)(ルール506(c))

Rule 506(c)は、一般勧誘があった場合でも登録義務を免除するために、2013年にRegulation Dに追加された規定である。

Rule 506(c)はRule 506(b)によく似ているが、大きな違いは下記の通りである;

  • Rule 506(c)のもとでは、全ての投資家は適格投資家である必要がある。
  • 発行体は、投資家が適格投資家であることを証明するためのステップを必ずとらなければならない。Regulation Dに基づくその他の募集では、発行体は一般的に単に投資家からの自己証明に依拠することができるが、Rule 506(c)ではこれでは足りない可能性が高い。
  • 発行体は募集のために一般勧誘をすることができる。

Form D (フォームD)

Regulation Dに基づく募集では、発行体は”Form D“と呼ばれる書類を証券取引委員会に提出しなければならない。Form Dはたった4枚の書類であり、アメリカでの証券発行の経験がある弁護士であれば簡単に記入できるものである。

Form DはRegulation Dの要件であるが、発行体によっては要求される情報を開示したくないためにForm Dを提出しないこともある。Form Dを提出しないことによるリスクが限定的であるケースも一般的ではないにしろあり得るが、それには注意深い分析が必要であり、州レベルでの証券法が決定に影響を与えることもある。一部の州の規制当局は、州法のもとでの募集に対する登録義務の免除にForm Dの提出が必須かどうかにつき異なるスタンスをとっているので注意が必要である。 

再販売の制限

Regulation Dに基づく募集における証券を購入した場合、別途登録の免除がない限りはその証券を再販売してはならない。購入者が適切な免除の適用なしに証券を再販売した場合、もとの募集に対して適用された免除もなくなる危険性がある。これは、資金調達をする会社にとって重大な問題を引き起こしかねない。従って、Regulation Dに基づく募集で証券を購入する者に対し、自由に売買できない証券を購入する旨を理解させる手段を講じることが必要である。発行体が、無許可での販売を防ぐために利用することができる法的なプロテクションもある。

適切な免除規定を選ぶ

Regulation Dに規定される4つのRuleにはそれぞれ長所と短所がある。例えば、Rule 506(c)では一般勧誘はできるが、それに伴い発行体は投資家の適格投資家ステータスをより詳しく調べる必要があり、募集にかかる費用や時間が増えることになる。

一方、会社が数十万ドルのみを調達したい場合、典型的なのはRule 504に基づいて財務やビジネスの詳細情報を提供することなく、友人や家族、非適格投資家に対して私募発行をすることができる。

Regulation Dに基づいて資金調達をしたい会社は、募集を出来るだけ効率的に行うために早い段階から法律家と相談をすることをお勧めする。

 

モンローシェリダン・リードモンローシェリダン・リード
外国法事務弁護士(米国ニューヨーク州)
慶應義塾大学 法科大学院 特任講師
info@monroe-legal.com
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